タンニン鞣しを施しただけの、染色・塗装がされていない革のことをいいます。革そのものの風合い、味わいが魅力です。一般的にはタンニンなめしで作られた牛革全般をヌメ革ということが多いようです。高い強度と長く使うほどなじんでくるという革製品の魅力を併せ持っています。
人間に一番近い最初で最後の限りある天然素材とも言え、同じ革であっても様々な環境や季節によって革の味が変わります。使い続けると艶が出てきたり、色が変わるなど、想像できない変化と成長を楽しむことができるのです。
なお、タンニン鞣しは自然の素材による鞣し方法であるため、ヌメ革は廃棄されても土中で微生物などにより自然に分解されます。製造工程中においても環境を汚染するような有害廃棄物をほとんど出さないため、自環境に優しい素材として高い評価を受けるようになってきています。
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ヌメ革は革自体が非常に丈夫です。大きく損傷することはありません。しかし、表面に傷が付きにくいということではなく、素材自体が丈夫であり、むしろ表面には傷が付きやすく、素手で触ると変色します。しかし、表面に付いた傷がむしろ革らしい味わいを増し、しっかりとケアしていると数十年単位で使い続けることが可能です。数十年も使い続ける事が出来る丈夫な素材と言えます。
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色味は当初は淡い肌色をしていますが、使い込むごとに、革の中にある脂分が表面にでてきてアメ色に変わっていき艶もでてきます。初めはヌメ革はたいてい無愛想なくらいつやがない革ですが、日光や熱、マッサージなどの刺激により革が元々含んでいる脂分が表に染み出してきます。
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初は繊維がびっしりと並んでいるため、固くゴワゴワしていますが、使い続けることで繊維がほぐれてやわらかく優しく馴染みます。
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自で革を育てる場合、染色されていないヌメ革を、まず日当たりのよい窓際で陽ざしにあててみましょう。裏面はもちろん、鞄の底面やパーツなども同じ様に日光浴させます。
日焼け具合は、人と同じで、日焼けしている部分としていない部分にムラがないよう器気をつけましょう。車中など極度に温度の上がる場所は避けましょう。
淡いベージュに色付いたらOk。季節や日照時間にもよりますが、ここまで色づけするには、おおよそ2~3週間かかります。
自分で革を育てる楽しみを味わいながら、オンリーワンの鞄を造りましょう。